スペイン語の絵本(ラテンアメリカやスペインの絵本)と日本語の絵本についてと、日常のあれこれをつづります。
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ペルーの絵本
ペルーの絵本 


とびきりおかしないぬ


原題:
Un perro muy raro 

 

この絵本は、ひとりぐらしのおじいさんと、とびきりおかしないぬの心温まるおはなしです。ずうずうしく ふてくされた犬の態度が、おじいさんの優しくおおらかな性格と相反していて、会話の掛けあいもユーモアたっぷり。作者のホセ・ワタナベさんにはペルーで一度だけお会いしたのですが、とても物静かで優しく語りかけるように話す方でした。この作品に登場するおじいさんは、作者自身を反映しているように思えてなりません。読んだ後、とても温かい気持ちになる本です。


あらすじ 

ニコラスおじいさんは、港のちかくにくらしていました。ある日、いっぴきのいぬがちかづいてきて、たべものをほしがります。おじいさんは いぬをかわいがるようになり、いっしょにくらすようになりました。でもこのいぬ、じつは とびきりおかしないぬだったのです…

だいこうぶつは、さかなのイワシ。ゆうびんやさんがきてもほえず、ネコにもまるできょうみがありません。そんなある日、とうとうひみつが あきらかになる日がやってきました。おじいさんといぬが 港をさんぽしていたときのこと、おとこのこのボールが海におちてしまったのです。いぬは きていたぬいぐるみを すばやくぬぎすてると、おじいさんにわたして 海にとびこんだのです。ついに、ほんとうのすがたにもどって…。そう、ペンギンのすがたに!

 

ペンギンは、おじいさんにわけをはなします。じつは さむいのがにがてだったため、あたたかいばしょをさがして、はるばる南極からやってきたのです。おじいさんはおどろきながらも、ペンギンをいままでとかわらず、やさしくうけいれました。こんどは、おじいさんのたいせつなかぞくとなって…。  (対象年齢:6歳から)


作者:José Watanabe ホセ・ワタナベ

日系2世の現代詩人。日本(岡山県)からの移住者の父親とぺルー人の母親との間に生まれました。海外の評価も高く、詩人としての活動の他、映画や芝居の戯曲を執筆、ナレーターや子ども向けテレビ番組のプロデューサーとしても活躍しました。2007年に癌で亡くなりましたが、その前の1年間、特に子ども向けの絵本の執筆に力を注ぎ、計6冊の絵本(未発表だった作品3冊が没後出版。それを含めると計9冊)が出版されています。この絵本は、どもが読んで楽しめる本づくりを目指したワタナベ氏の遺作となった作品です。

 

絵:Víctor Aguilarビクトル・アギラル

ペルーのカトリック大学でグラフィックデザインを学ぶ。1999年より、ペルー最大手新聞『エル・コメルシオ』で、イラストレーターとして活躍中。

 

出版社:Ediciones PEISA ペイサ社

 

発行年2007

 

おはなしの一部

つぎの日、あさごはんをたべたあと、おじいさんといぬはさっそくでかけることにしました。いぬは、いつものようにゆっくりとにほんのあしでヨチヨチあるいていました。しばらくあるいていくと、ひくい木にかこまれた はらっぱへやってきました。


さっそく、おじいさんは ちいさなぼうをつかむと、いぬにみせてから すぐに いきおいよく、とおくへなげました。

でも、いぬは、ぴくりともうごきません。

「ぼうをとりにいかなきゃならんじゃろ」おじいさんは、いいました。

いぬはしぶしぶと ぼうをひろいにいきましたが、とちゅう 木のうらで まよいこんでしまいました。
(


しばらくすると、いぬは へとへとになりながらもどってきました。ところが
、ぼうを もっていませんでした

「とおくまで、なげすぎだよ。ぼうは、みつからなかったよ」

「いぬはみんな、ぼうをみつけてとってくるもんじゃがな。なんどもいうようじゃが、おまえさんは、ほんとうに おかしないぬじゃのう」


 ………………

ペルー最大手新聞 
El Comercio(エル・コメルシオ)2007828日の掲載記事

この絵本を手がけたのは、多才な作家ホセ・ワタナベ氏と日刊紙エル・コメルシオで活躍中のイラストレーターのビクトル・アギラル氏である。詩人ワタナベ氏は、20074月に亡くなった。これは、誰もが記憶に新しい、忘れがたい出来事に違いない。アギラル氏は、ワタナベ氏について次のように語っている。「この物語を実現するにあたり、ホセに直接会ったのは3回だけで、それ以外は、電話やメールで詳細を詰めていった。しかし、彼の作品に対する熱意やそれに捧げる姿勢は、十分に伝わってきた。最初に会った時、彼は僕にストーリーの構想を聞かせてくれた。僕は、まるで子どものように、彼の話す物語を聞き入り、その時、登場人物たちや場面のイメージが自然と膨らんでいった。『どうしたら小さい子どもたちに、話の続きを読みたいと思わせることができるのか』ということについて、彼は熱意を持って語ってくれた。とても教育熱心だった。」

 

残念ながら、ワタナベ氏はアギラル氏の絵を実際に見たのは最後の一頁のみで、残りは下絵のみだったようだ。このストーリーには特に思い入れが強く、細部にわたり関心を寄せていた。これに関しては、次のようなエピソードが残されている。亡くなる数週間前、ワタナベ氏は、病院の待合室で偶然雑誌に載っているペンギンの写真を見つけた。その頁を切り取りポケットに入れると、「これは、ビクトルに役に立つかもしれない」と、妻のミカエラ夫人に語っていた。また、入院中も、このストーリーの登場人物たちのことがずっと頭にあったようだ。「ビクトルに伝えてくれ。絵にするとき、ペンギンのあしによく注意するように」と、話していたそうだ。この時、すでに結末はハッピーエンドだったに違いない。

| 23:45 | スペイン語の本 Libros españoles | comments(2) | trackbacks(0) |
タイトルに「犬」という言葉が含まれている本は、
とりあえず手にとってみる主義なんですが(笑)、
『ちょっとかわったおかしないぬ』も、
そらまるさんの説明を読んでいると、ぜひとも
中身を見てみたくなる本ですね〜。

ワタナベ氏のお人柄にも興味を抱きました。
生前に会われる機会があったのは素晴らしいですね。
| izumi | 2011/07/01 00:12 |
Izumiさん、遊びに来てくれてありがとう。
『ちょっとかわったおかしないぬ』、ワンちゃんのイラストかわいくてね、ぜひizumiさんにお見せしたいです。ええと…ぐるぐる考え中。後ほど、izumiさんのブログ経由でメールしますね。

ちなみに、日本では、「ラテンアメリカ子どもと本の会」主催の図書展に12月(神奈川)と3月(品川)に、この本は展示予定になっていま〜す。
| そらまる | 2011/07/01 11:16 |









 
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